避難民によるラジオ局、シリアに残された人々への放送続ける
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【1月20日 AFP】たびたび途切れる放送に頻繁に起きる停電、さらには番組キャスターの呼びかけにも聴取者は誰も応えない──それでも、彼らは内戦下にあるシリアの人々に「検閲されない」ニュースを届け続けると心に決めている。この強い信条の下で放送を続けるのは、トルコ・イスタンブール(Istanbul)に拠点を構えるラジオ局「Radio Alkul」。シリアから避難した人々が運営するラジオ局だ。
アラビア語で「すべての人のためのラジオ」を意味する「Radio Alkul」は2013年4月に放送を開始した。スタッフはエンジニアと記者で12人ほどいる。放送は、シリア国内7か所に配置してある送信機を使って流されているという。
放送のタイミングは内戦の状況に大きく左右される。番組ディレクターのオバイ・ズカル(Obai Sukar)氏は「爆撃がなければ放送を行う。だが、爆撃の恐れが少しでもあるときはスイッチを切るよう指示している。スタッフの命の方が(放送より)重要だから」と述べる。
シリア国内の情報提供者らは、爆撃や虐殺に関する最新情報をスカイプを通じて伝えるというが、彼らは日常的に生じる技術的な問題と日々格闘を続けている。
ある時の放送では、ニュースキャスターのモハメド・バロディ(Mohammed Al-Barodi)氏が、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権派の部隊による反体制派への空爆についてレポートをする現地の情報提供者とスカイプで話そうとしていたところ、つながった回線が接続と同時に切れてしまった。
番組ディレクターのズカル氏は「電話を待っていても誰もかけてこない。停電が起きたりネットがつながらなかったりで、正直なところ簡単にはいかないよ」と語った。