【1月17日 AFP】V字型編隊で飛行するトキは、従来は不可能と考えられていたほどの高い精度で翼の羽ばたきを同期させているとの研究論文が15日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 英ロンドン大学(University of London)王立獣医カレッジ(Royal Veterinary College)などの研究チームは、季節移動で飛行中のトキ14羽の羽ばたきを43分間にわたりすべて測定し、各個体が他の仲間との関係において適切な位置を飛行しながら、空気力学的な効果を最大限に得られるように羽ばたきのタイミングを調節していることを突き止めた。

 編隊を組むトキたちは、V字の先端にいる1羽のリーダーから後側面に向かって中心角約45度の扇形に広がり、翼の羽ばたきをそろえて飛行する。そうすることによって各個体は前を行く仲間の後方で発生する狭い範囲の「吹き上げ(上昇気流)」から最大限の揚力を得ることができる。同時にトキたちは、地面の方に体が押される「吹き下ろし」が発生する範囲を慎重に避けている。

 王立獣医カレッジのスティーブン・ポルトガル(Steven Portugal)氏は今回の研究結果について、「トキたちが適切な位置にとどまり、これほど高い精度で羽ばたきのタイミングを合わせるために必要とされる驚くべき制御と協調は、難しすぎて不可能とこれまで考えられていた」とAFPの取材で述べた。