イスラム教の資料集めた図書館がオープン、ボスニア・ヘルツェゴビナ
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【1月20日 AFP】1992~95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中に消失を逃れたイスラム教関連の古文書を収蔵した新たな図書館が15日、首都サラエボ(Sarajevo)にオープンした。
図書館の名前は、16世紀にサラエボの街を建設したオスマン帝国の武官の一人で、1537年にはサラエボ初の図書館も創設したガジ・フスレブベグ(Gazi Husrev-beg)にちなんでいる。また、図書館は最古のものでは1106年に記されたアラビア語の手書き文書など、10万点を超える資料を所蔵している。
1990年代に民族間で繰り広げられた内戦と「サラエボ包囲」の際、イスラム関連の古文書は住民たちによって8か所に分散して隠され、消失を免れた。うち500点の最も貴重な文書や古書は、銀行の金庫室で厳重に保管されていた。
図書館の運営委員長であるアフメド・アリバシチ(Ahmed Alibasic)氏によると、いつか失われてしまう危険を防ぐために、すべての文書をデータ化し、複製を国外の3か所で保存しているという。図書館の収蔵資料のうち、60%はアラビア語、30%はトルコ語で書かれたものだという。
開館式は、図書館建設にあたって880万ドル(約9億2000万円)を寄付したカタール政府からガイス・ビン・ムバラク・クワリ(Ghaith Bin Mubarak Al-Kuwari)宗教相も出席して催された。ボスニアの大ムフティー(イスラム教の最高位法学者)であるフセイン・カバゾビッチ(Husein Kavazovic)師は式典で「知識は神からの贈り物であり、我々の役目はそれを伝えていくことだ」と述べた。
ボスニア・ヘルツェゴビナは1463年から1878年までオスマン帝国の支配下にあり、人口380万人のうち40%を超える人々が、イスラム教を信仰している。(c)AFP