【1月16日 AFP】フランスで、2013年に国外退去処分を受けたロマ人の数が、前年の2倍以上に急増し、過去最多の1万9380人に達したとする2人権団体による合同報告書が14日、発表された。同国のフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領はこの報告を受け、政府が掲げるロマ人排除政策を改めて擁護している。

 非政府組織(NGO)「人権連盟(LDH)」と「欧州ロマ人権センター(European Roma Rights CentreERRC)」は、当局によって強制退去させられたロマ人の数は、2012年に9404人、2011年には8455人だったと述べ、「強制退去はほぼ毎回、きちんとした替わりの住居も社会的支援もないまま継続されている」と指摘。両団体の合同報告書によると、政府の方針では排除の前に社会的な審査が義務付けられているにもかかわらず、「実施されることはまれ」だという。

 フランスのロマ人排除政策に対しては、各人権団体から批判が集中。特にマニュエル・バルス(Manuel Valls)内相が、ロマ人にはフランスに定住する意思のある人などほとんどおらず、出身国に帰るべきだと発言した際には、同国でロマに対する敵意が高まっている現状が浮き彫りになった。

 現在フランスには、ロマ人が約2万人いると推定され、その多くが町外れに違法な居住キャンプを設営して生活している。仏政府は近年、キャンプから一部のロマ人に退去を命じる政策を実施し、ロマ人に金銭を渡してルーマニアやブルガリアといった出身国へ送還するという措置が取られることが多い。

 オランド大統領は、14日の記者会見で、ロマ人に対する政策について質問を受けると「自らの過去の行いを恥じるべきだろうか、答えはノーだ」と述べ、同国ではロマ人排除の法律がこれまで一貫して適用されてきたことを強調した。(c)AFP