【1月15日 AFP】反政府デモが続いているタイのインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相は15日、デモ参加者に対し、自分への怒りは投票で示すべきだと呼び掛け、総選挙こそが同国の政治的危機を乗り切る最善の道だと訴えた。

 昨年11月末から続いている大規模なデモは、インラック首相を退陣に追い込み、代わりに自分たちで任命する「人民議会」の設置を要求している。デモ隊は、富豪で現在国外に逃亡しているインラック首相の兄のタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相が妹のインラック政権を操っていると批判しており、タクシン氏が政界で握っている権力を抑制しようとする狙いがある。

 インラック首相は同日、選挙管理委員会が提案した総選挙の延期について協議するため政府関係者らとの会合を開いたが、反政府派だけでなく本来独立機関である選挙管理委員会も出席を拒否した。

 同首相は、2月に予定されている総選挙の延期について可能性ゼロとは言明していないが、延期すれば憲法に抵触するという懸念を繰り返し強調し、「この政府が嫌なら、国民は投票に行くべきだ」と主張した。

 王政を支持する既得権益層の大半を含めた反インラック首相派の多くは、2月に総選挙が実施されればシナワット一族とその支持者らが再び権力を握ることにつながるだけだとして、これを望んでいない。総選挙は選挙改革を行ってから少なくとも1年後以降に行うべきと主張する一方で、同国の脆弱(ぜいじゃく)な民主主義体制を停止させる意図はないとしている。(c)AFP/Thanaporn PROMYAMYAI