新憲法案めぐる衝突で8人死亡、国民投票続くエジプト
このニュースをシェア
【1月15日 AFP】エジプトで、新憲法案の是非を問う国民投票が始まった14日、首都カイロ(Cairo)郊外の各地でムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の支持派と警察・反モルシ派が衝突し、8人が死亡した。治安当局が明らかにした。
厳重な警備態勢が敷かれた各地の投票所には、多くの国民が長い列を作った。大半の投票所では円滑に投票が進んでいるものの、こうした暴力の発生は、アラブ諸国で最も人口が多く、前大統領の解任とその後の同氏支持者への取り締まりが続くこの国で、暫定政府がいまだ国全体を掌握しきれていないことを改めて強調したといえる。
モルシ前大統領の出身母体である「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」を中心とするイスラム系団体の同盟は、14、15両日にわたって実施される国民投票のボイコットと、期間中の抗議行動を呼び掛けていた。
新憲法案では、モルシ氏解任により停止されている憲法のうち、モルシ政権下で盛り込まれたイスラム色の強い文言の大半が削除され、同憲法案支持派からは女性の権利や言論の自由が強化されたと評価されている。
だが一方で、新憲法案は向こう8年間にわたる軍の国防相任命権限を認めているほか、部隊を攻撃した市民に対する裁判権も認めるなど、軍の権限が強化されている。
前大統領を解任したエジプト軍のトップ、アブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah Said al-Sisi)軍最高評議会議長兼国防相は、今後実施される予定の大統領選に出馬するものと見込まれている。(c)AFP/Haitham EL-TABEI, Sarah BENHAIDA