【1月14日 AFP】(写真追加)中国北部の陝西(Shaanxi)省で新生児を誘拐し、人身売買業者に売っていた元産科医に14日、執行猶予付き死刑判決が下された。

 陝西省渭南(Weinan)市の中級人民法院(地裁)によると、元産科医の張淑侠(Zhang Shuxia)被告(55)は同市富平(Fuping)県などで、生まれた子どもが病気だった、もしくは死産だったなどと親たちをだまして放棄させた新生児7人を人身売買業者に売っていた。中国では子どもに障害があった場合、一人っ子政策の影響に加え、社会的不名誉を恐れて親が養育を諦める傾向がある。

 張被告は業者から男児の場合は最高4万7000元(約80万円)、女児は1人につき2万元(約34万円)相当を受け取っていたという。

 ソーシャルメディア上の同地裁のアカウントには、青い上着にズボン姿で、警官に付き添われて出廷した被告の写真が掲載された。

 この事件は、毎年数万人が誘拐されていると考えられている中国の児童人身売買の一端を明らかにした。中国では一人っ子政策で1家庭の子どもの数が制限されている一方で、男性の後継ぎを好む家庭が多く、誘拐される子どもの多くは売られて養子となるなど国内で売買されている。子どもを盗まれた親たちからは、警察が捜査に無関心だと非難の声が上がっている。毎年発見される子どもの数について公式な発表はないが、13年10月までの10か月間では、当局が2万4000人の子どもを救出したという。

 張被告に売られた子どもの数はもっと多いとの報道もある。国営メディアによれば、張被告が主犯格として関与している疑いのある事件は26件報告されている。

 張被告の死刑には2年の執行猶予期間が与えられ、その後に終身刑に減刑される可能性もある。(c)AFP/Tom HANCOCK