【1月13日 AFP】昨年12月に就任したドイツのウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)国防相(55)は12日、ドイツ紙とのインタビューで、兵士の短時間(時短)勤務の導入や育児支援の拡充を進め「家庭に優しい」ドイツ軍を作りたいとの意欲を示した。

 フォンデアライエン氏はドイツ初の女性国防相で、7人の子を持つ母親。大衆紙ビルト(Bild)日曜版に対し「私の目標は、軍をドイツで一番魅力的な就職先の1つにすること。そのためには仕事と家庭の両立が最重要課題だ」と語った。

■育児や介護に配慮、「時短でもキャリア」掲げる

 フォンデアライエン国防相は改革の一例として、「育児のため週3~4日勤務を選択しても、キャリアアップの展望が持てるようでなくてはならない」と指摘。また、残業時間を「貯蓄」して、育児や親の介護のための時間に充てる制度も考えていると述べた。

 さらに、兵士を2~3年周期で異動させる軍の制度についても「軍でキャリアを築くということが、常に軍務を優先し数年置きに転勤することを意味するべきではない」として、詳細に調査する意向を表明した。

 中でも最優先で取り組むべき課題として、育児支援の拡充を挙げ「軍全体にフレキシブルな保育システムが必要だ」と主張。現行の兵舎付属の保育設備に加え、早朝や夜間といった時間外勤務中に子どもを預かってくれる保育サービスの提供を訴えた。

■「家庭に優しい戦争はない」と野党

 これに対し、緑の党や左派党(Linke)など野党の政治家は、財源が確保できないなどと懐疑的な声を上げている。左派党の女性政治家インゲ・ヘーガー(Inge Hoeger)氏は「戦争に時短などないし、家庭に優しい軍務というもの存在しない」とフォンデアライエン国防相の案を一蹴した。

 フォンデアライエン国防相は、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の後継者と目されている。ビルト紙とのインタビューによると、国防相指名を伝えられたのは就任のわずか5日前だったが、就任後すぐにアフガニスタン駐留ドイツ軍を視察に訪れた。

 第1次メルケル内閣では家庭・高齢者・女性・青少年相を務め、育児支援の拡充や父親の有休育児休暇といった社会改革を推し進めたことで高い評価を得ている。(c)AFP