【1月6日 AFP】米海兵隊は先ごろ、女性隊員に体力的な要件として懸垂3回を課すことを無期限で延期した。海兵隊員らが2日に明らかにした。ブートキャンプ(新兵の訓練プログラム)に参加した女性隊員のうち、半数以上がこの要件を満たせなかったことが背景にあるという。

 海兵隊は今年から、女性隊員の体力要件に、最低3回の懸垂を加える予定だった。しかし、指揮官らが女性隊員の除隊や入隊希望者の減少を懸念したことから延期に踏み切った。女性たちには、より負荷の少ないフレクストアーム・ハングのトレーニングが課されることになる。懸垂で顎が棒より高い位置に来た状態をできる限り長い時間にわたって維持するというものだ。

 女性隊員に最低3回の懸垂を求める体力要件の導入は2012年11月に発表され、その後の1年間はこの要件を満たすことのできるよう体力強化のための猶予期間とされていた。しかし、サウスカロライナ(South Carolina)州パリスアイランド(Parris Island)にある新兵訓練基地(Marine Corps Recruit DepotMCRD)で実施されたブートキャンプでは、参加した女性の約55%がこの要件を満たすことができなかった。

 ただし、男性の海兵隊員の中には、女性隊員に対する体力要件の引き下げに反対する人たちもいる。

 ある隊員は自身のブログを通じて「男性隊員の中で、懸垂が3回できない人など見たことがない。平均的な男性隊員と女性隊員の体力の差は非常に大きい」と述べ、「歩兵部隊やその他の戦闘部隊にとって、体力は部隊とそれに所属する隊員1人ひとりの生死にかかわる問題だ」と続けた。

 なお、2013年11月には歩兵部隊の訓練コースで、女性の兵士3人が初めて卒業している。海兵隊の関係者によると、3人が卒業できるよう特別に基準を引き下げることはしていないという。(c)AFP