縫製工場のデモ隊に治安部隊が発砲、3人死亡 カンボジア
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【1月3日 AFP】カンボジアの首都プノンペン(Phnom Penh)郊外で3日、賃上げ要求デモを行っていた縫製工場労働者らに向けて警官隊が発砲し、少なくとも3人が死亡した。
現場で取材中のAFPカメラマンが目撃したところによると、棒や石、火炎瓶などで武装したデモ隊と小銃を所持した警官隊は、工場が集中するプノンペン郊外のベン・スレン(Veng Sreng)地区で衝突。警官隊が空に向けて威嚇射撃した後、デモ隊に向けて発砲した。
プノンペン警察当局によると、この衝突で3人が死亡、2人が負傷した。一方、デモに参加していた地元の人権活動家は、10人が重傷を負ったと述べている。
カンボジアの武装警察当局は、デモ隊による投石などで警官9人が負傷したため制圧に乗り出したと主張している。
ベン・スレン地区では昨年末から、数千人の労働者らが縫製工場に続く道路を封鎖して賃上げストライキを行っており、30年近く続くフン・セン(Hun Sen)首相の長期政権を揺るがしている。2日には軍部隊がデモ制圧に出動し、デモ隊との衝突で複数の負傷者が出たほか、僧侶ら5人が逮捕された。活動家らはカンボジア当局による「憂慮すべき新たな手口」だと非難している。
カンボジアの縫製業は、欧米アパレル大手のギャップ(Gap)やナイキ(Nike)、H&Mなどの下請けを担うドル箱産業だ。貧困国のカンボジアにおける主要な外貨獲得源で、65万人が従事するが、報酬や労働環境をめぐる争議が絶えない。
今回のデモ参加者らは、最低賃金として月給160ドル(約1万6700円)を要求している。(c)AFP