【12月24日 AFP】政府軍の敵対する部隊同士の戦闘が1週間以上にわたり続く南スーダンで、兵士らが特定民族を対象にした大量殺人や、各家をしらみつぶしに回って住民の殺害とレイプを行っているとの複数の証言が、AFPに寄せられている。

 証言者2人の話によると、2人を含む約250人が政府軍兵士に身柄を拘束され、連行先の首都ジュバ(Juba)の警察署で発砲されたという。2人は負傷したものの逃走し、国連施設へと駆け込んだ。250人中、逃げだすことができたのは12人のみだったという。

 その他数人から得られた証言から浮かび上がるのは、世界で一番若い国である南スーダンで一連の戦闘が始まった15日以降の、民族間問題を背景にした殺人やレイプなどの暴力行為の横行だ。

 戦闘は、サルバ・キール(Salva Kiir)大統領を支持する政府軍の部隊と、7月に解任されたリヤク・マシャール(Riek Machar)前副大統領を支持する部隊との間で行われている。

 キール大統領は、マシャール前副大統領がクーデターを企図したと発表したが、一方の同前副大統領は、同国部隊同士の対立を利用してキール大統領が粛清を行ったと主張している。

 ジュバ北部の複数か所では、15日以降、マシャール前副大統領を支持する勢力が制圧しているが、これらの場所では、特定民族を対象にした殺害行為も報告されている。

 大量殺人から逃げ出したとする証言者2人は、自分たちがマシャール前副大統領と同じヌエル民族であるために狙われたと話している。一方の殺害行為を行っている兵士らはキール大統領と同じ多数派民族のディンカ人だという。

 これまでに寄せられている各証言については、現地で活動しているジャーナリストの数が少なく、救援チームの活動も厳しく制限されているため、現時点では確認が取れていない。(c)AFP