裸にした不法移民をホースで消毒、イタリアの施設に非難殺到
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【12月19日 AFP】イタリア・ランペドゥーサ(Lampedusa)島にある不法移民の収容施設で、亡命を希望して密航してきた移民たちが屋外で裸にされてホースで消毒液を掛けられる映像が国営テレビで放映され、非難が殺到している。
国営イタリア放送協会(RAI)が放送した映像には、屋外とみられる場所に移民の男性たちが並ばされ、看護師に身体検査をされた後、ホースで消毒される様子が捉えられていた。この映像を入手したバレリオ・カタルディ(Valerio Cataldi)記者によると、撮影者はシリアからの避難民で、映像が放映された後2時間にわたって警察から事情を聴かれたという。
放映を受け、欧州委員会(European Commission)のセシリア・マルムストローム(Cecilia Malmstroem)欧州委員(内務担当)は18日、ランペドゥーサ島を含むイタリア国内の複数の移民収容施設は「最悪の環境だ」と非難する声明を発表した。ランペドゥーサのジュジ・ニコリーニ(Giusi Nicolini)市長も「まるで強制収容所だ」と述べた。
エンリコ・レッタ(Enrico Letta)伊首相は調査と責任者の処罰を約束。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も、ランペドゥーサ島収容施設の過密状態を「擁護することはできない」と非難する声明を出した。
■運営業者は反論
これに対しランペドゥーサ島収容施設の運営を伊内務省から受託している業者は、ラジオのインタビューで反論。疥癬(かいせん)のリスクが非常に高い中、裸になった移民が並んでいたのは消毒液のシャワーを浴びる順番を待ちきれなかった移民が服を脱いでいただけだとして、「映像は全体の状況から判断されるべきだ」と主張するとともに、「この処置はクリニックでは通常2~3人に対して行うが、この時は104人もいた上に他に場所がなかった」と説明した。
イタリアには毎年、エジプトやリビア、トルコなどから集団密航してきた移民が押し寄せる。欧州を目指す不法移民の「玄関口」となっている状態にイタリア政府は不満を訴えているが、北欧の国々は最終的に受け入れる移民の数は北欧のほうが多いと指摘している。
ランペドゥーサ島の施設の収容定員は381人だが、しばしば満員となり、国内の他の施設に移送されるまで屋外で生活せざるを得ない移民も多い。(c)AFP/Dario THUBURN