【12月19日 AFP】英ウィルトシャー(Wiltshire)州にある遺跡ストーンヘンジ(Stonehenge)近くで18日、新たにビジターセンターがオープンした。多くの観光客が見込まれる21日の冬至を前に完成した同施設は、毎年百万人規模で訪れる観光客により充実した見学の機会を提供することになる。

 ソールズベリー平原(Salisbury Plain)の環状に巨石が並ぶこの神秘的な遺跡は、英国はおろか欧州全体でも、最も有名な先史時代の遺跡の一つに数えられている。だがこれまで、結論の出ない議論が数十年にわたり続いた結果、観光客を迎えるための施設は駐車場程度しか整備されていなかった。

 新たに建設されたのはビジターセンターや博物館などの展示スペースで、2700万ポンド(約45億円)の費用が投じられたという。

 これら新施設は、ストーンヘンジ周辺の景観に配慮し、遺跡からは見えない場所に設けられた。また、周囲の風景になじむようデザインにも工夫がなされ、周囲の木々と同様に、211本の傾いた細い鉄柱が軽量化された屋根を支える構造となっている。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)にも登録されているストーンヘンジは、その大きさだけでなく、同心円状に巨石を配置する洗練された建築手法やその精密さから、世界でも類を見ない最も印象的な巨石の古代遺跡の一つと考えられている。

 博物館では、紀元前3000年~2300年までの間に段階的に作られたと考えられるストーンヘンジの建設過程を模型や映像からたどって見ることができる。

 この遺跡は一体何の目的で使用されていたのか──この疑問は未だ解決していないが、儀式などの目的で使われていたとの説が今日では有力となっている。

 ビジターセンターとストーンヘンジとは約2.5キロ離れているため、観光客はシャトル便を利用して移動する。これまで、遺跡の近くには1960年代に設けられた仮設のトイレや寂れた小さな売店・カフェなどがあるのみだったが、現在これらの施設は既に閉鎖されている。(c)AFP/Béatrice DEBUT