【12月17日 AFP】歯が抜け落ち、歩くこともままならなかった高齢のネアンデルタール人が、仲間から介護され、死後は手厚く埋葬されたとする研究論文が16日、発表された。

 今回の発見は、フランス中部の発掘現場における13年間の調査に基づいたもので、洞穴に住んでいた石器時代人は実はかなり洗練されていたのではないかとする議論に新たな証拠をもたらした。

 仏ラ・シャペル・オ・サン(La Chapelle-aux-Saints)の墓穴が最初に発見されたのは1908年。墓にあったのは身体に障害がある高齢のネアンデルタール人の遺骨で、ここからネアンデルタール人は知能が低く、猫背で足を引きずっていたという「定説」が生まれた。

■敬意と思いやりのネアンデルタール人像

 しかし長い年月をかけてこの墓穴をさらに綿密に分析し、また欧州各地で他にも墓穴が発見された結果、ネアンデルタール人はそれまで考えられていたよりも他者に敬意を払い、思いやりがあった可能性が示された。

 米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された論文によると、研究チームは現在、洞穴の床が自然に形成された可能性を排除し、人が掘ったものだと主張している。

 研究を率いたウィリアム・ランドゥ(William Rendu)氏によると、約5万年前に埋葬された老人の墓穴の付近では、他に子供2人と成人1人の遺骨が発見されているが、この3人が近親者だったかどうかや、同時期の人々であるかどうかは明らかになっていない。