【12月17日 AFP】2001年9月11日の米同時多発テロを計画したとして起訴された5被告を裁く軍事法廷で、2012年のヒット映画『ゼロ・ダーク・サーティ(Zero Dark Thirty)』の上映を認めるかどうかが今週、判断される。

 軍事法廷は16日から一連の予備審問を開始するが、その中で、7月に弁護人のジェームズ・コネル(James Connell)氏が申請した『ゼロ・ダーク・サーティ』の抜粋20分の上映を認めるかどうかが判断される。

「現時点では、われわれとしては、彼ら(米当局)がハリウッドに渡したのと同じ情報をわれわれも入手したいというだけだ」と、アリ・アブド・アルアジズアリ(Ali Abd al-Aziz Ali)被告の弁護人を務めるコネル氏は、AFPの取材に語った。

 主犯格を自称するハリド・シェイク・モハメド(Khalid Sheikh Mohammed)被告のおいにあたるアリ被告は、ニューヨーク(New York)とワシントンD.C.(Washington D.C.)での、ハイジャックした航空機による攻撃の後方支援の準備に協力したとして起訴されている。

『ゼロ・ダーク・サーティ』に登場するアリ被告によく似た人物は、米中央情報局(CIA)の秘密収容施設に拘禁され、拷問を受けている。

 問題の20分間では、「アマル(Ammar)」と呼ばれる被収容者が、CIAの秘密収容施設で水責めを受け、裸でひつぎの中に閉じ込められ、裸で犬用の首輪でつながれている様子が描かれていた。

 アリ被告の弁護人らは、CIAが同映画の監督を務めるキャスリン・ビグロー(Kathryn Bigelow)氏と脚本のマーク・ボール(Mark Boal)氏に対し、弁護人らの入手している以上の情報を提供したに違いないと主張しており、この情報にアクセスする権利を要求している。

 コネル氏はAFPの取材に、DVDの準備はできているが、要請が受理されるかどうかについて確信はないと語った。コネル氏は、アリ被告の身柄拘束とその後の拘禁と尋問について検察側から一切情報を提供されていないと主張している。

 16日の審問は非公開だったが、今後の審問は米メリーランド(Maryland)州フォートミード(Fort Meade)に控えている記者らに対し中継される予定。(c)AFP