ワーグナーの歌劇に隠された「片頭痛」の秘密
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【12月13日 AFP】ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)の楽劇「ニーベルングの指環 (Der Ring des Nibelungen)」の楽曲の中に隠されているテーマは「偏頭痛」だとする研究結果を、ドイツの神経科医チームが発表した。
「ニーベルングの指環 」は4夜にわたって上演される大作。12日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)に掲載された報告によると、第2夜「ジークフリート (Siegfried)」の楽曲には、ワーグナーが常々悩まされていた片頭痛のリズムや視覚障害の影響が反映されているという。
ワーグナーは回顧録や私的な手紙の中で、ほとんど動けなくなるほど激しい頭痛に襲われた経験を打ち明けており、「閃輝暗点」(偏頭痛オーラ)と呼ばれる視覚障害を伴うこともあったと記している。
独北部キール(Kiel)にあるキール頭痛センター(Kiel Headache and Pain Center)のカール・ゲーベル(Carl Goebel)氏率いる研究チームは、「ワーグナーは自分の偏頭痛の発作と偏頭痛オーラを、音楽と台本に深く織り交ぜている」と指摘した。
研究チームは「ジークフリート 」の第1幕・第3場で、英雄ジークフリートが「いまいましい光だ」と歌い、ちらちらと燃え輝きながら音を立てている何かについて文句を言う箇所に注目。楽曲のテンポを分析した。
ワグナーはこの曲の弦楽器パートで、1小節に16個の32分音符を並べて速弾きさせている。チームはこのリズムが「1分間に120拍で、周波数なら16ヘルツに相当するが、これは実証されている偏頭痛オーラの際の光のちらつきのリズムに近い」と述べている。(c)AFP