イランで失踪の米男性は「CIAの情報要員」、米メディア
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【12月13日 AFP】(一部更新)イランで6年前に米連邦捜査局(FBI)元捜査官の米国人男性が行方不明になった事件で、米メディアは12日、この男性は米当局がこれまで主張していたようにビジネス目的でイランに入国したのではなく、米中央情報局(CIA)の情報収集に携わっていたと報じた。
FBI元捜査官のロバート・レビンソン(Robert Levinson)氏の失踪事件について米当局はあいまいな説明を繰り返しており、詳細は秘密に包まれていた。
しかし、米AP通信(Associated Press)と米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が12日に伝えた長文記事によると、レビンソン氏はCIAから報酬を得て、世界各地で情報収集活動に従事していたという。
報道によればレビンソン氏は2007年3月、イランの汚職問題について調査するため、同国の観光地キシュ島(Kish Island)に空路で渡航した。イランの核開発計画に関する情報収集も目的の1つだったという。
だが、その後レビンソン氏は消息を絶った。これまで米当局は同氏について、民間企業の仕事の関連でイランを訪れていた民間人だと発表していた。
■規則違反の登用、家族に2.6億円で訴訟防ぐ
AP通信とポスト紙によると、CIAの分析チームは規則に違反して、レビンソン氏を情報収集要員として雇った。同氏はFBIの元ベテラン捜査官で、ロシアの犯罪組織に関する知識が豊富だった。
その後、米連邦議会にこの事実が報告され、CIAは分析官3人を解任、7人を懲戒処分とした。さらにCIAは、訴訟を未然に防ぐためレビンソン氏の家族に250万ドル(約2億6000万円)を支払った。また、この不祥事を受けてCIAは、部外者と協力する際の条件を定めた新規則を導入したという。
しかし、失踪事件とCIAの対応の詳細は今まで極秘扱いとされていた。
AP通信はレビンソン氏とCIAとのつながりを2010年につかんでいたが、公にはせず調査を続行。これまでに3回、米政府の要請に応じて事件の報道を延期していた。米政府がレビンソン氏の保護に向けて有力な手がかりを得たと主張したためだという。
だがAP通信は、同氏の発見・解放に向けた取り組みは失敗に終わったとして今回、記事の公開に踏み切ったと説明している。
レビンソン氏の生存を示す映像や写真は、2011年のものを最後に公開されていない。複数の米高官は、レビンソン氏がCIAに関与していることをイラン側が知っているのはほぼ確実だと述べている。(c)AFP