【12月12日 AFP】欧州連合(EU)との連合協定をめぐり反政権デモが3週間近く続いているウクライナで11日、機動隊がデモ隊の強制排除に乗り出したが、激しい抵抗を受けて一旦、撤退した。ビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領は野党側に対話を呼び掛けたが、政権への打撃は大きい。

 ウクライナ政府の対応に国際社会の批判が高まる中、ヤヌコビッチ大統領は11日、EUのキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障上級代表(EU外相)と2日連続で会談。ビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)米国務次官補とも会談し、ヌーランド氏は治安当局によるデモ弾圧は「許容できない」と大統領に伝えた。

 ヤヌコビッチ大統領は同日夜、平和的デモに対しては当局が武力を使用しないことを約束するとともに、野党に対話の席につくよう強く求めた。

 しかし、内閣の総辞職と11月30日のデモ鎮圧に当たった機動隊の処罰を対話の条件として要求している野党側は、改めてヤヌコビッチ政権打倒に全力を尽くすと表明。服役中のユリヤ・ティモシェンコ(Yulia Tymoshenko)前首相も声明で、いかなる交渉にも応じないよう反政権派に警告するとともに「ウクライナの人々よ、立ち上がれ」と国民に呼び掛けた。

 ウクライナ政府は11日早朝、機動隊と内務省の特殊部隊を投入して、首都キエフ(Kiev)の独立広場(Independence Square)を占拠していたデモ隊の強制排除に乗り出した。デモ隊は排除に抵抗し、数十人が負傷した。だが、治安部隊は最終的に屈辱的な撤退を余儀なくされ、日々拡大するデモの参加者たちからは歓声が上がった。(c)AFP/Dmytro GORSHKOV, Zoya ZHMINKO