バブルの象徴「ゴースト空港」が競売へ、スペイン
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【12月11日 AFP】総額10億ユーロ(約1400億円)をかけて建設されたものの、2011年以来、民間航空会社の乗り入れがないスペイン中部の空港が9日、1億ユーロ(約140億円)で競売に出された。
首都マドリード(Madrid)から南へ約200キロの都市、シウダーレアル(Ciudad Real)にある空港は、年間1000万人の乗降客を扱えるだけの容量を持ち、滑走路はエアバス(Airbus)の世界最大の旅客機「A380」の離着陸も可能なほど長い。
人口7万5000人の同市を訪れる観光客は少ないが、首都マドリードと観光客に人気のあるアンダルシア地方のコルドバ(Cordoba)のほぼ中間に位置するため、2都市をつなぐ拠点として期待されていた。しかし、スペインの不動産バブルの象徴となってしまった。
スペイン初の民間国際空港として2008年12月に開港したが、2011年末からは商用飛行の利用はなく、運営会社CRアエロプエルト(CR Aeropuertos)は12年6月、約3億ユーロ(約520億円)の負債を抱えて破産。9日に競売に掛けられた際の開始価格は1億ユーロだった。落札者は27日に決まる。
スペインにある47か所の空港のうちいくつかは民間航空会社の定期便の乗り入れがない。うち15か所の空港の稼働率は1日1便に満たず、年間利用客は10万人を下回っている。また、カステリョン(Castellon)にあるもうひとつの民間空港は、シウダーレアルよりもさらに状況が悪く、11年3月の開港以来、1便も扱ったことがない。
「空」となったシウダーレアルの空港では、スペイン人監督のペドロ・アルモドバル(Pedro Almodovar)氏が1週間貸し切り、今年公開の映画『アイム・ソー・エキサイテッド! (I'm So Excited!)』の撮影を行ったこともある。
欧州一の長さを誇る全長4200メートルの滑走路には、上空を通過するパイロットらに「着陸できないことを示す」ために黄色いペンキで罰印が描かれているという。(c)AFP