【12月10日 AFP】カナダは9日、大西洋領海の大幅な拡大を国連に申請したことを発表し、北極点と周辺海域の主権を主張する意思を示した。

 カナダは、同国東部と極北部の大陸棚について10年間に及ぶ調査と補強証拠の収集を実施し、6日に大陸棚限界委員会(Commission on the Limits of the Continental Shelf)にその主張を申請した。

 カナダのジョン・ベアード(John Baird)外相はこの申請について、主にカナダの大西洋側の大陸棚限界に関するものだと表明。申請には「北極海(Arctic Ocean)における大陸棚の限界についての予備的な情報」も含まれていると付け加えた。

「北極海の大陸棚についての申請にカナダの北極点に関する主張が含まれるよう、政府高官と科学者らに必要な追加作業を行うよう要請した」とベアード外相は述べた。

■カナダ、ロシア、デンマークなどが対立か

 スティーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相率いるカナダ保守党は、2006年以来の3回の選挙で、北極海における主権の拡大を重要な政策項目に掲げていた。だが、ロシアとデンマークも同様の主張を行うことが予想され、北極海周辺国間で対立が起きる可能性もある。

 気温の上昇により北極海の航路が開かれ、これまでに採掘できなかった資源の採掘が可能になったことから、北極周辺地域は近年、にわかに大きな注目を浴びている。北極海に面した国には他にもノルウェーや米国などがある。

 北極海に面した国々は現在、各国沿岸から200カイリの排他的経済水域を確保しており、この範囲を越えた主権の主張は、国連海洋法条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)の下で判断されることになる。

 カナダの主張が認められるためには、ロモノソフ海嶺(かいれい、Lomonosov Ridge)の上に存在する北極点(North Pole)まで同国の大陸棚が延長していることを証明しなければならない。

 一方、カナダの大西洋側の大陸棚延長の申請は、約120万平方キロだった。国連は2014年7~8月に同申請を検討する予定となっている。(c)AFP/Michel COMTE