【12月9日 AFP】5人の子どもがいる中国の農家の男性が、「一人っ子政策」に違反しているとして今年の収穫物を押収された後、地方共産党指導者の自宅で致死量の農薬を飲み込んで自殺した。中国メディアが9日、報じた。

 中国共産党機関紙の人民日報(People's Daily)電子版によると、男性(45)は、来年の収穫までの家族の唯一の収入源であるトウモロコシ3.5トン以上を、中国北部河北(Hebei)省梁二庄(Liang'erzhuang)の当局者5人に押収された。

 中国国営紙・環球時報(Global Times)によると、男性は地区の共産党指導者の自宅に相談に行ったが、そこで農薬を飲み込み、後に病院で死亡した。

 男性には4人の娘、そして末っ子の息子がいた。農業による収入は年5000元(約8万5000円)ほどだったという。

 中国の「一人っ子政策」の下では、地方部の家庭は1人目の子どもが女子の場合、2人目の子どもを出産することが許されている。

 だが男性の妻によると、2人目の娘が生まれて以来、当局者に金銭を要求され、3人目の子どもが産まれた際には6万元(約100万円)を要求されたという。

 男性の妻は人民日報の電子版に「その金額を支払うことはできなかった」と述べ、これまでに支払った金銭については領収書などは一切受け取っていないと付け加えた。

 同地区の指導者はこの事件以来、家族とともに行方が分からなくなっている。

 地元当局は男性の家族に支援と葬儀費用として1万5000元(約25万円)、そして今後の社会保障費の給付を申し出たが、家族はこれを拒否したという。

 中国メディアによれば、2012年、同国の31のうち24の省・直轄市・自治区が、「一人っ子政策」の罰金として総額200億元(約3400億円)を徴収している。この罰金の使途については1つの行政区も明らかにしていない。(c)AFP