【12月7日 AFP】国民の知る権利や表現の自由が侵害される恐れがあるとして報道関係者や有識者などから強い反対が出ていた特定秘密保護法が6日夜、参議院本会議で可決され、成立した。同法案は先に衆議院を通過していた。

 野党側は閣僚や内閣の不信任案を連発したが、連立与党が多数を占める国会で同法の成立を阻むことはできなかった。

 特定秘密保護法によって閣僚ら行政機関の長は、防衛、外交、スパイ活動の防止、テロの防止などに関する事項のうち、特に秘匿が必要な情報を特定秘密に指定できるようになる。安倍晋三(Shinzo Abe)首相は、情報管理の緩さが米国との情報共有の妨げになっているとされる日本の政府機関からの情報漏えいの防止に必要な法律だと主張してきた。

 特定秘密を扱う者が情報を漏らした場合と施設への侵入など違法な手段によって特定秘密を取得した場合は最高で懲役10年、特定秘密の漏えいを教唆、扇動した者には同5年の懲役などとする罰則規定もある。

 しかし、対象になる情報の定義があいまいなため、ほとんど全ての情報が秘密にされる恐れもあり、与党政治家やその支援者が公にしたくない情報が国民の目から隠されるのではないかという批判が出ていた。

 安倍首相は、特定秘密指定の過程を監視する第三者機関を設置すると表明したが、法律には一切規定されていない上、政府に指名された人物が政府に反する判断を下すことはないのではないかと批判されている。

 アニメ映画監督の宮崎駿(Hayao Miyazaki)氏や高畑勲(Isao Takahata)氏など250人以上の映画関係者の他、ジャーナリスト、研究者、法律家、その他の著名人がこの法案への反対を表明していた。(c)AFP