「大英帝国の略奪品返却を」、英首相に 中国ネットユーザー
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【12月5日 AFP】中国を訪問したデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は4日、中国のマイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」を通じて同国のシンクタンクから、19世紀に英国が中国から略奪したとされる品々を返却するよう求められた。
今回の訪中は史上最大の対中貿易使節団と呼ばれ、英当局高官によるとすでに56億ポンド(約9400億円)相当の商談が成立しているというが、その一方では、キャメロン首相に対し、中国の国営メディアとネットユーザーたちから厳しい意見が寄せられていた。
■「略奪品はいつ返却するのか」
キャメロン首相は前週、新浪微博にアカウントを開設し、ネットユーザーからの質問を募集、中国滞在中に質問に返答するようにしたいと述べ、4日までに23万フォロワーを獲得した。
寄せられた質問の中で最も人気のあった質問の1つは、中国の曾培炎(Zeng Peiyan)元副首相が理事長を務めるシンクタンク「中国国際経済交流センター(China Center for International Economic Exchanges)」による投稿だった。
「英国はいつになったら違法に略奪した品々を返却するのだろう」──同センターはキャメロン首相に問いかけた。同センターが指摘したのは、19世紀末に起きた義和団の乱(Boxer Rebellion)鎮圧の際に英軍によって略奪され、大英博物館(British Museum)に収蔵されたとされる2万3000点の品々だ。
中国人にとっては、紫禁城(Forbidden City)からの略奪と1860年の清朝離宮の円明園(Old Summer Palace)の破壊は、今もなお欧米列強に支配された時代を象徴する出来事となっている。
■中国主要国営紙が社説「英国はただの古い国」
一方、中国の主要国営紙は3日、「中国はキャメロン首相の『誠意』にだまされない」と題した社説で、英国は自らが大国ではなく「観光や留学にふさわしい欧州のただの古い国」に過ぎないことを認識すべきだと述べ、キャメロン首相に向けた厳しい意見を掲載した。
キャメロン首相の訪中には、英自動車メーカーのジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover)やロールスロイス(Rolls Royce)、石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)などのトップと、ロンドン証券取引所(London Stock Exchange、LSE)の最高経営責任者(CEO)らが同行した。(c)AFP