「極めて危険」な放射性物質、メキシコで盗難 IAEA
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【12月4日 AFP】(写真追加)メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)近郊のテポハコ(Tepojaco)で2日、「極めて危険」な潜在性がある医療用放射性物質を積載したトラックが強盗団に盗まれていたことを、国際原子力機関(IAEA)が4日発表した。
トラックは「コバルト60遠隔治療」と呼ばれる放射線治療に使われる放射性物質を積み、メキシコ北部の都市ティフアナ(Tijuana)の病院から放射性廃棄物貯蔵施設へ向かっている途中だった。
メキシコ原子力安全・保障措置委員会(CNSNS)から報告を受けたIAEAによれば、盗まれた時点では、放射性物質は確実に遮蔽(しゃへい)されていたが、遮蔽物から取り出されたり損壊したりすれば、極めて危険な可能性があるという。メキシコ当局は放射性物質の行方を捜査するとともに、報道発表で国民に警告を発している。
盗まれた放射性物質は従来の核兵器などには使用できないが、理論上は、広い範囲に放射性物質をまき散らす「汚染爆弾」と呼ばれる爆発物に使えるとされる。
専門家らは、世界中で医療施設など警備体制が十分でない場所に、こうした物質を大量に保管する危険性を長年、警告し続けている。(c)AFP