米機密暴露の英紙編集長「われわれは愛国者だ」
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【12月4日 AFP】米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)に勤務していたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者から入手した機密情報を公表した英紙ガーディアン(Guardian)のアラン・ラスブリッジャー(Alan Rusbridger)編集長(59)が3日、英議会で証言し、議員からの激しい質問攻めに対し同紙スタッフは「愛国者だ」と反論した。
英下院内務特別委員会(Home Affairs Select Committee)の公聴会に出席したラスブリッジャー編集長は、ガーディアン紙はスノーデン容疑者から入手した資料のうち1%分しか公表していないと述べ、それ以外の情報は安全な場所に保管されていると語った。
先月、議会で証言した英情報機関長官は、スノーデン容疑者の提供した情報をガーディアン紙や米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報道したことについて「英国の敵」を支援する行為だと批判していた。
■民主主義と報道の自由ゆえに「愛国者だ」
テレビ放映された公聴会で、内務特別委員会のキース・バズ(Keith Vaz)委員長に「この国を愛していますか」と問われたラスブリッジャー編集長は、質問に対して「驚いた」と返答。「われわれは愛国者だ。そして、われわれが愛国心を持つ理由の一つは、民主主義であり、そしてわが国の報道の自由だ」と言い返した。
スノーデン容疑者からの情報に基づく過去6か月の報道は、米国や、英国の盗聴担当情報機関である政府通信本部(GCHQ)、その他の国々による時に同盟国も対象とした大がかりな監視活動を白日の下にさらした。
だが、ラスブリッジャー編集長はガーディアン紙が今後、スノーデン容疑者から提供された情報を新たに報道することはそれほどないと表明。イラクやアフガニスタンなどの機密情報については、監視問題の核心とは関連がないことから、今後も公開するつもりはないと付け加えた。
一部の議員は、英国の機密情報にあたるGCHQ職員の個人情報を、ラスブリッジャー編集長がニューヨーク・タイムズ紙の記者など国外に伝えたことは犯罪にあたるのではないかと編集長に詰め寄った。
■ウォーターゲート事件の記者から支援の言葉
同公聴会にはロンドン警視庁(Scotland Yard)の幹部も出席し、ヒースロー空港(Heathrow Airport)で8月、元ガーディアン記者のグレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏のパートナーの身柄を拘束した際に押収した資料を「違法行為の疑い」に基づいて捜査していると証言した。
公聴会の前、ラスブリッジャー氏はツイッター(Twitter)で、ウォーターゲート(Watergate)事件を報じたカール・バーンスタイン(Carl Bernstein)氏から、支援の気持ちを伝える「とても良い手紙」を受け取ったと述べていた。(c)AFP/Danny KEMP