台風禍のフィリピン、人身売買の拡大の恐れ 米議員
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【12月4日 AFP】先月上旬に猛烈な台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)の直撃を受けたフィリピンを先週訪問した米国の下院議員と米国際開発局(USAID)は3日、多くの女性や子どもたちが人身売買の被害に遭う可能性が高まっていると警告した。
米議員2人と共に台風被災地の視察を終えて帰国した共和党のクリス・スミス(Chris Smith)下院議員は下院外交委の小委員会で、フィリピン当局と米軍が多数の被災者の支援にあたっている状況を報告するとともに、「災害発生時に最も被害を被るのは常に、最も影響を受けやすい人たち、つまり女性や子ども、高齢者、特別な支援が必要な人たちだ」と述べて、被災後の混乱に乗じた犯罪を防ぐため、より注意深く見守る必要があると指摘した。
スミス議員はまた、性的な目的での人身売買の被害に遭いやすいのは特に、「長期間にわたって希望を失っていたような人たちだ」と述べ、被災地から首都マニラ(Manila)などの都市に避難した大勢の人たちの中には、このような人が多いと説明。サウジアラビアや韓国などでの仕事があると言われて人身売買の被害に遭うと、「この世の地獄への招待状」を受け取ってしまうことになると述べた。
米政府はフィリピンを、「人身売買撲滅のための最低基準」を満たしていない国と位置づけている。米国務省が発表した「2013年人身売買年次報告書」では、フィリピンは性的搾取や強制労働を目的とした人身売買の「供給国」であり、「子どもを対象とする買春観光が依然、深刻な問題になっている」とされている。
フィリピンを直撃し、観測史上最大規模となった台風30号は、7400人以上の死者・行方不明者を出した。(c)AFP