【12月4日 AFP】2004年に死去したパレスチナ解放機構(PLO)のヤセル・アラファト(Yasser Arafat)前議長の死因を調べていたフランスの専門家らが、同前議長が毒殺されたとする説を退け、自然死の可能性が高いとする見方を示した。この調査に近い筋が3日明らかにした。

 先月にはスイスの科学者らが、アラファト前議長が放射性物質ポロニウムで毒殺されたとする説を部分的に裏付ける結論に至ったと発表していたが、それとは大きく異なる結果となった。

 2004年11月、パリ(Paris)近郊の軍病院に入院中、容体が急変し75歳で死去したアラファト氏の死因をめぐっては、フランスの医師らも特定できず、またスーハ(Suha Arafat)夫人の希望で司法解剖も行われなかったことから、これまで長くうわさと臆測が後を絶たなかった。多くのパレスチナ人はイスラエルが毒殺したと信じ込み、イスラエルは繰り返しそれを否定してきた。

 仏専門家らの調査結果を受け、イスラエル外務省の報道官はAFPに対し「驚くには当たらない」とコメント。一方、パレスチナの調査チームを指揮したタウフィク・ティラウィ(Tawfiq Tirawi)氏は、フランスの調査結果に慎重な姿勢を示し、立場を明確にする前にまず報告書を吟味する必要があると述べた。

 フランスとスイスの専門家らが相反する調査結果をまとめたことについて、スーハ夫人は同日「非常に当惑している」と語ったが、夫の死の責任を誰かに負わせようという意図はないとも付け加えた。(c)AFP