【12月3日 AFP】オスのコアラの求愛行動でみられる、その小さな体に似つかわしくないゾウのような低いうなり声を発する現象に、これまで知られていたものとは全く別の声帯が関係しているとする研究結果が、2日の米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)で発表された。

 研究によると、新しく発見されたこの声帯は、コアラの喉頭の外側にある。陸上で暮らすほかの哺乳類に同様の器官の存在していたことはこれまで知られていない。

 研究を主導した英サセックス大学(University of Sussex)のベンジャミン・チャールトン(Benjamin Charlton)氏によると、オスのコアラはその求愛行動で、いびきとげっぷが混ざったような音を出す。この音はロバの鳴き声にも近いとされ、「実際のところ、かなり大きな声」だとチャールトン氏は説明した。

 平均体重約8キロのコアラは、同じような大きさのほか動物に想定される声と比べて、20倍ほど低いうなり声を発するという。

 コアラのこの特殊な声帯は、口腔と鼻腔がつながる場所に存在しているため、その大きさに制限がかかることがないという。小さな動物が高い鳴き声を発する要因は、この小さな声帯にある。

 研究者らは、メスのコアラにも同様の声帯があるのかを調べるためには、さらなる研究が必要だと述べた。メスのコアラも、オスほど頻繁にではないものの、低いうなり声をしばしば発することが知られている。(c)AFP