【12月3日 AFP】米歌手ボブ・ディラン(Bob Dylan)さん(72)が、フランスで侮辱行為と憎悪扇動の罪で訴追されていたと、司法筋が2日、明らかにした。ディランさんは、米誌ローリング・ストーン(Rolling Stone)に掲載されたインタビューをめぐり、クロアチア人団体から告訴されていた。

「在仏クロアチア人協議会(CRICCF)」の告訴を受け、ディランさんが事情聴取を経て訴追されたのは11月半ば。告訴のきっかけとなった2012年のインタビューで米国の人種間関係について聞かれたディランさんは、ユダヤ人とナチス・ドイツ(Nazi)の関係をセルビア人とクロアチア人の関係になぞらえたとされる。

 同インタビューでディランさんは、「奴隷主や(クー・クラックス・)クラン(Ku Klux KlanKKK)の血が混じっている人がいれば、黒人はそれを感じ取る。そういうことは今日にも残っている。ユダヤ人ならナチスの血を感じ取り、セルビア人ならクロアチア人の血を感じ取るように」と発言していた。

 ユーゴスラビア崩壊後に発生した紛争で、クロアチア人とセルビア人は1991~95年にかけて激しく対立、約2万人が命を落としたとされる。クロアチア人は、自らをナチスに関連付けた発言がなされるたびに、非常に敏感な反応を示している。

 ディランさんのレコード会社の代理人は、ディランさんに対する法的措置について把握していないと話している。またCRICCFも、コメントを拒否している。

 ディランさんは11月、フランスの国益に寄与、または同国の価値観の高揚に貢献した外国人に贈られるレジオン・ドヌール(Legion d'Honneur)勲章を受賞したばかり。(c)AFP