【12月2日 AFP】英国出張中に強制的に帝王切開で出産させられ、赤ちゃんを取り上げられたとして、イタリア人女性がわが子を取り戻すための訴えを起こしている。英紙サンデー・テレグラフ(Sunday Telegraph)が報じた。

 テレグラフ紙によると、このイタリア人女性は妊娠中だった2012年、アイルランドの格安航空会社ライアンエア(Ryanair)の2週間の研修に参加するためロンドン(London)北部にあるスタンステッド空港(Stansted Airport)を訪れたが、滞在中にパニック障害を起こした。女性には双極性障害(そううつ病)があり、女性の家族は薬を飲み忘れたことがパニックの原因だと説明しているという。

 同紙が女性の代理人を務める弁護士の話として伝えたところによれば、スタンステッド空港のあるエセックス(Essex)州当局は、裁判所命令を得て女性に鎮静剤を投与し、胎内の女児を帝王切開で取り出した。

 この点についてエセックス州当局側は、女性が精神衰弱状態だったため胎児にとって最善の策を考慮し、帝王切開を行ったと弁明している。現在1歳3か月になる女児は、社会福祉当局が保護して養子縁組先を探しているという。

 女性は娘の親権を求めて英国とイタリアで訴訟を起こしている。下級審では、いずれも女児を養子縁組に出すというエセックス州当局側の判断を支持する判決が下っている。

 英国で女性の弁護人を務めるブレンダン・フレミング(Brendan Fleming)弁護士は1日、テレグラフ紙に「弁護士になって40年になるが、こんな話は聞いたことがない」と憤りを語った。

 テレグラフ紙によれば、連立与党・自由民主党(Liberal Democrats)のジョン・ヘミング(John Hemming)議員が今週、議会にこの問題を提起する方針という。(c)AFP