【12月1日 AFP】ウクライナの首都キエフ(Kiev)にある独立広場(Independence Square)で30日未明、欧州連合(EU)との連合協定への署名を見送ったビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領に抗議する抗議集会を警察が強制排除した。

 抗議集会には29日のストライキに匹敵するおよそ1万人が集まった。警棒を振るう警官隊が夜明け前に強制排除に踏み切った。デモ参加者数百人が近くの教会に逃げ込んだが、数十人が負傷した。

 野党各党は、「国民抵抗機動部隊」を組織して全国にストライキを呼びかける方針を示すとともに、政府に早期の総選挙実施を求めた。

 ボクシングの世界チャンピオンでもある野党指導者のビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)氏は集まった人々を前に、「私たちはこのような国家権力を排除することができるし、排除すべきだ」と述べた。

■「オレンジ革命」以来の大規模デモ

 ウクライナ政府は、リトアニアの首都ビリニュス(Vilnius)で先週開かれたEU首脳会議の1週間前に、連合協定への署名を見送ると発表し、2004年の親欧米派による「オレンジ革命(Orange Revolution)」以来最大規模の抗議デモを招いていた。

 同協定が署名されていれば、ウクライナはEUに接近する一方、ロシアとは距離を置くことになっていただろう。ロシア政府は、今もエネルギーの供給元や輸出市場としてロシアに依存している旧ソ連構成国のウクライナに、この協定を結ばないよう圧力をかけていた。

 デモ隊の怒りが向けられているヤヌコビッチ大統領は30日、声明を発表し、「独立広場で今朝にかけて起きた出来事に激しい怒りを覚える。対立と人々の苦しみをもたらした行動を非難する」として、責任がある者を罰すると述べた。(c)AFP/Dmytro GORSHKOV, Zoya ZHMINKO