【11月29日 AFP】シリアの内戦で、難民となった子どもたちが残酷な代償を払わされていると、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が29日、報告書で警告した。故郷を追われた子どもたちの痛ましい証言が多数報告されている。

 タハくん(15)は、シリアの自宅近くで7人の遺体を目にしたという。「あの光景が忘れられない。思い出すと、誰かにナイフで刺された気持ちになる」と話している。

 60ページに上る報告書は、ヨルダンやレバノンで避難生活を送るシリア難民の子どもたちにUNHCRが行った聞き取り調査の結果をまとめたもの。子どもたちの証言からは、これまでに12万人以上が死亡した内戦によって心に刻まれた深い傷がありありと浮かび上がって見える。

「難民危機においては、こうした『人の顔』を忘れないことが重要だ」と、UNHCR国際保護部門のボーカー・ターク(Volker Turk)主任はスイス・ジュネーブ(Geneva)で記者団に語った。「子どもたちの顔を見てほしい。この危機がどういったものかを非常に強烈に物語っている」

 国連(UN)の統計によると、難民登録されたシリア難民220万人のうち、およそ半分を子どもが占めている。また、UNHCRによればシリア難民のうち父親のいない家庭は7万世帯を超え、両親と離れて生活している子どもは3700人以上に上っている。(c)AFP/Jonathan FOWLER