【11月29日 AFP】4分に1人がレイプ被害を受けているとされる南アフリカで、演劇クラスを受講している高校生らが、試験問題として赤ちゃんへの性的虐待シーンの演出法を考えるように指示されたことが分かり、国内から激しい抗議の声が上がっている。

 試験を受けた高校生らは、1本のほうきと一塊のパンを使って、加害者がどのように生後9か月の赤ちゃんに性的虐待を行うかを表現すると同時に、観客の恐怖感を最大限に引き上げる方法を考えるよう指示された。

 この設問は、2001年に同国で発生した9か月の赤ちゃんに対する性的虐待事件を題材にし、演劇賞を受賞したララ・フット・ニュートン(Lara Foot Newton)の戯曲「Tshepang」の抜粋に基づいたものだった。

 しかし、生徒や保護者、活動家などからは、同国ではレイプ被害が多発しており、生徒たちの中に被害者がいる可能性もあるのに、こうした問題を設けるのは無神経だとの批判の声が上がった。当局の公式統計によると、南アでは2012年だけで約6万5000件の性犯罪が起きている。

 男子生徒の1人も英紙タイムズ(The Times)紙に対し、この設問には「気分が悪くなった」と話している。

 一方、教育省はこの件について27日、生徒たちは「9か月の赤ちゃんに対する性的虐待行為をそのまま表現する」ことを求められたわけではなく、観客が感じるであろう「恐怖と嫌悪」を最大限に生み出すための演劇表現を考えさせることが狙いだったとする声明を発表。「生徒たちは(抜粋の内容を)知っていただろうし、こうした問題に関連した自分自身の感情をコントロールするための訓練も受けていたはずだ」という。(c)AFP