【11月27日 AFP】フランスで、ヘロインの違法取引で有罪判決を受け服役中の受刑者に、当局から8万ユーロ(約1100万円)の所得税を納めるよう求める通知書が届いた。

 受刑者の弁護士、サミラ・ブーディバ(Samira Boudiba)氏がAFPに語ったところによると、フランス東部ナンシー(Nancy)の刑務所で服役中の同受刑者は、最近になって2008~11年度の推定所得に基づいた課税通知書を受け取った。

 ブーディバ弁護士は「まるで小規模事業主のような扱いだ。常軌を逸している。完全な違法活動になぜ課税できるのか」と話し、この課税通知が法律の違憲審査などを行うフランス憲法会議によって見直されることを求めていると明らかにした。

 同弁護士によると、受刑者が受け取った課税通知書には、受刑者の所得や控除可能な支出の推定額が非常に詳細に書かれていた。

「あなたの(ヘロインの)個人消費量は1日当たり4グラムと見なされ、売り上げから控除が可能です」との記述があった他、受刑者の主な仕入れ先がベルギーのナミュール(Namur)であったため、年2000ユーロ(約27万5000円)まで交通費として控除の対象になり得る、とまで書かれていた。

 ブーディバ弁護士は、現在の規則では2008年度にまでさかのぼって課税することはできない上、当局は現金4万ユーロ(約550万円)を含む同受刑者の全資産を押収し、売却できるものは売却する予定であることを指摘し、「こうした資産を購入するのに使った金額に対して課税しようとしている。これは二重の懲罰だ」と主張している。(c)AFP