英3女性監禁事件、容疑の男女に「毛沢東主義」の過去
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【11月26日 AFP】英ロンドン(London)の自宅で女性3人を「奴隷」として30年にわたって監禁していたとされる男女は、1970年代に毛沢東主義の活動家として広く知られていたことが分かった。英メディアが25日、報じた。
英各紙は、21日に警察に逮捕された男女の名前を、インド生まれのアラビンダン・バラクリシュナン(Aravindan Balakrishnan)容疑者とタンザニア人の妻、チャンダ(Chanda)容疑者と報じている。
ブリクストン(Brixton)地区のアパートに監禁されていたとされる女性3人は、逮捕に先立ち警察によって救出されていた。うち30歳の女性は、これまで生涯にわたって奴隷状態に置かれていたとみられている。警察によると、女性らは洗脳されており、暴力を受けていたとも供述しているが、性的虐待はなかったとみられる。
また、英メディアの25日の報道によると、このアパートでは1996年、毛沢東主義を信奉する集団に属する女性が、クリスマスイブの日にバスルームの窓から転落している。転落により身体がまひしたシアン・デービス(Sian Davies)さん(当時44)は、翌97年8月に死亡しており、警察はこの件に関しても調査を行っている。
マルクス主義の歴史についてのウェブサイトによると、73歳のバラクリシュナン容疑者はかつて「イングランド共産党(マルクス・レーニン主義)(Communist Party of England (Marxist-Leninist))」の高位党員だったが、同容疑者の「派閥」が「分離独立活動をひそかに行った」として、1974年に党員資格停止処分を受けていた。
「バラ同志」と呼ばれていたバラクリシュナン容疑者は、警察が1978年にロンドン南部ブリクストン地区にある毛沢東主義者らの施設を閉鎖しようとした際に、妻と共に逮捕されたと、同ウェブサイトは解説している。
警察は、男女が1970年代に逮捕されたことを確認したが、その理由は明らかにしていない。また捜査当局は、男女の身元確認を拒否している。男女は1月まで保釈の身となっており、その間もさらなる捜査が進められている。
奴隷のように監禁されていたとされるのは、マレーシア人(69)、アイルランド人(57)、英国人(30)の女性3人で、うち1人から慈善団体への連絡があったことがきっかけで、10月25日に解放された。警察の今月23日の発表では、うち年上の2人は、容疑者の男と「共通した政治的イデオロギー(思想)」を通じて知り合い、当初は1つの「共同体」のメンバーとして同居していたという。(c)AFP