【11月23日 AFP】スイス・ジュネーブ(Geneva)で開かれているイランの核開発問題をめぐる協議で「2度目の正直」を目指す欧米などの6か国は協議を閣僚級に格上げし、米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官をはじめ各国外相がイランとの画期的な合意に向けて大詰めの交渉に臨むことになった。

 米国務省のマリー・ハーフ(Marie Harf)副報道官は22日、「協議に進展がみられる」ことや「合意達成に期待が持てる」ことから、ケリー長官が再び協議に参加することを決めたと発表した。

 ケリー長官のほか、ローラン・ファビウス(Laurent Fabius)仏外相、ウィリアム・ヘイグ(William Hague)英外相 、ギド・ウェスターウェレ(Guido Westerwelle)独外相も協議に参加するほか、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は22日、すでにジュネーブに到着している。また、前回の協議には不参加だった中国の王毅(Wang Yi)外相も23日に現地入りする予定だ。

■合意への障害は「濃縮の権利」

 交渉進展の障害となっているのは、イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師が今週表明したように、イランが「ウラン濃縮の権利」を認めるよう要求したことだ。ただし、モハマド・ジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相は22日、「楽観する余地はある」と述べている。

■各国の強硬派も進展を阻害

 国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国(米英中仏露)にドイツを加えた6か国(P5+1)とイランはいずれも合意実現への意欲を示している。しかし、米国とイラン、さらにはイスラエルの強硬派にも納得のいく協定の締結は困難だ。

 国際社会の大半が核保有国とみているイスラエルではイラン核協議への警戒感が強く、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は強硬に合意への反対を訴えている。ネタニヤフ首相は現在の6か国の方針ではイランに核兵器開発の能力を残すことになると考えており、イランの核関連のインフラについて一部凍結ではなく全面的な廃棄を主張している。

 一方、米議会には今回の協議で合意できなければ、あるいは合意内容がイランに対して寛容すぎるものになれば、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の方針を無視して新たな対イラン制裁案を可決しようという動きがある。

 さらにイランのハサン・ロウハニ(Hassan Rowhani)大統領は、ハメネイ師に自らの「魅力攻勢」の最初の成果を見せなければならないという圧力がかかっている。そのために6か国側が出した制裁緩和の提案で十分なのか、今のところ明らかではない。(c)AFP/Simon STURDEE, Nicolas REVISE