【11月23日 AFP】約1億年前に地球を闊歩(かっぽ)していた全長9メートル、体重4トンの最大級の陸生肉食恐竜の化石を発見したという論文が、22日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 新たに発見されたこの恐竜はシアッチ・ミーケロルム(Siats meekerorum)と命名された。シアッチは米先住民のユート(Ute)族の神話に出てくる人食い怪物から、ミーケロルムは若い古生物学者を支援したミーカー(Meeker)家から取られた。

 この巨大な肉食恐竜は、当時共存していたティラノサウルスの仲間からも恐れられていたと、研究チームは推測している。

 体重8トンの大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、T・レックス)が今日の北米で肉食恐竜の王座を獲得するのは、シアッチ・ミーケロルムが生きていた時代から約3000万年後のことだ。

 ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)とノースカロライナ自然科学博物館(North Carolina Museum of Natural Sciences)のリンゼイ・ザノ(Lindsay Zanno)氏は、「この恐竜は、北米の化石記録ではT・レックスとおそらくアクロカントサウルス(Acrocanthosaurus)に次ぐ大型肉食恐竜です」と述べている。

 2008年に米ユタ(Utah)州のシーダー山層(Cedar Mountain Formation)の岩の斜面からこの恐竜の化石が突き出していたのが発見された。2年かけて散在した化石を収集してクリーニングを施し、さらに2年かけて分析した。

 化石が見つかった堆積層は約9800万年前のものだという。この恐竜の発見で、北米の肉食恐竜の化石記録の3000万年の空白が埋められたことになる。(c)AFP