【11月21日 AFP】フィリピンのボクシング元王者で24日にブランドン・リオス(Brandon Rios、米国)とのタイトルマッチを控えるマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)が20日、台風により甚大な被害を受けた母国の人々に向けて「この戦いをささげる」とメッセージを送った。

 フィリピンでは今月8日に上陸した超大型台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)の被害から立ち直ろうと努力が続いており、マカオで行われるWBOウェルター級タイトルマッチを前に記者会見に臨んだフィリピンの英雄は、自分の思いは国民と共にあると語った。

 これまで8階級でタイトルを獲得したパッキャオは、「この試合に勝つためにベストを尽くしているし、同胞を襲った出来事を思うと良い試合をしたい」と語った。

「台風によって被害を受けた人々、その家族の方へ。この戦いを皆さんにささげます」

 観測史上最大規模の暴風を伴った台風30号による死者は4000人を超え、避難を強いられている被災者は440万人に達している。

 試合会場となる高級カジノ・リゾートホテル、ベネチアン・マカオ(The Venetian Macau)で行われた記者会見では、ジムで罵声を浴びせながら取っ組み合いになった両選手のトレーナーの殺伐とした雰囲気とは打って変わり、パッキャオとリオスは互いに素晴らしい敬意を示した。

 試合に先立って勃発したいさかいについてもパッキャオは、「私が言えることは、この試合に向けて両陣営の準備はできているということ。勝負は、戦う前のくだらない言葉の応酬ではなく、リングで決着をつける」ときっぱりとはねつけた。

 さらに「ボクシングを愛する全ての人のためにいい模範となろう」と続けた。

「これはスポーツであって、私たちは私情とは無関係にリング上で仕事を全うするのみ。不平を抱くいかなる人も、神が赦しを与えるように、許すことが必要だ」

(c)AFP/Daniel HICKS