【11月21日 AFP】「ゲノミクスの父」と呼ばれ、ノーベル化学賞を2度受賞した唯一の人物である英国の生化学者フレデリック・サンガー(Frederick Sanger)氏が19日朝、ケンブリッジ(Cambridge)の病院で睡眠中に死去した。95歳。英医学研究会議(Medical Research Council)が発表した。

 サンガー氏は1958年にタンパク質、特にインスリンの構造に関する研究で1つめのノーベル賞を受賞、1980年には今日も使われているDNA塩基配列決定法(シークエンシング)の先駆的開発で他の2人と共に2度目の受賞を果たした。これまでにノーベル賞を2度受賞したのは、同氏を含めてわずか4人。

 20日には、同氏を追悼して多くの賛辞が捧げられた。共に研究に携わった人々は同氏から多くの刺激を受けたと述べ、決意は固いが控えめな科学者として、現代の遺伝学と分子生物学にもたらした貢献の重要性は言い尽くせないと語っている。

 サンガー氏は英国からも幾つかの栄誉を授与されたが、ナイトの爵位は、サー(卿)との敬称で呼ばれるのは気が引けると謙遜し、断っていた。(c)AFP