【11月20日 AFP】フィリピン東部の墓地で、墓石の上に頭蓋骨が転がり、墓場から腕が突き出ている──台風があまりに強力だったため、死者が土から引きずりだされたのだ。

 台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)は、東サマール(Eastern Samar)州の小さな町ヘルナニ(Hernani)で75人の死者を出した。さらに45人が今も行方不明だ。

 そしてまるで悪夢の一幕のように、あまりに強力な台風は、地元の墓地を通り過ぎたときに墓場から遺体を流し出した。

 台風が去った後、生存者たちは墓地の荒廃ぶりを見ておののいた。

「身の毛もよだつ光景だった。死者の一部は墓場から半ば外に突き出ていた。他の遺体は路上に散乱していた」と、近郊のボロンガン(Borongan)カトリック教区から救援活動に参加したクレア・グレゴリオさんは語った。

 AFPの取材班が訪れた日、ひっくりかえされ、破壊されたコンクリートや大理石の墓石が、墓地一帯に散らばっていた。

 ヘルナニの人々は、死者を再び埋葬するために当局の支援を待ってはいられなかった。教区司祭の祈りを受けた後、遺体の大半は共同墓地に再び埋葬された。(c)AFP/Cecil MORELLA