台風で孤児に、児童養護施設に入れない子どもたち フィリピン
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【11月19日 AFP】フィリピン・レイテ(Leyte)島のタクロバン(Tacloban)に住むニカ・カブティン(Nica Cabutin)ちゃんは、台風の影響で発生した津波のような高潮に両親と3人のきょうだいをさらわれた──。今月、同国中部を襲った台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)により、多くの子どもたちが二カちゃんと同じく孤児となって残された。
強烈な高潮はタクロバンに壊滅的な被害をもたらした。史上最大規模の台風30号により多数の犠牲者が出るなか、二カちゃんはがれきにしがみついているところを発見された。
頭に大きな傷を2か所負い、治療のために髪の毛を片側だけ短く切った二カちゃん。どうやらこの髪型が恥ずかしいようだ。
虐待された女性や子どもたちのためのシェルターを運営しているカルメラ・バステス(Carmela Bastes)さんは、「二カちゃんは私たちに小学校1年生だと教えてくれた。私たちも8歳くらいだろうと考えている」と話す。
犠牲者の数について、国連(United Nations)は4400人以上と発表しているが、フィリピン政府は4000人未満と推定している。
タクロバン市福祉局のリリオサ・バルタザール(Liliosa Baltazar)氏によると、二カちゃんは台風で両親を失ったタクロバンの子どもたちのうち、政府の保護下に置かれた最初の孤児の1人だという。バルタザール氏は、「現時点で、何人になるのかわからない。各地区の当局者に対し、孤児になった子供たちを引き渡すよう要請している。だが今は彼らも自分たちの家族の世話をすることで精いっぱいだ」と述べた。
国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」のフィリピン支部は、約300万人の子供たちが何かしらの被害を受けたと考えている。
二カちゃんは現在、シェルターの1階に住んでいる。タクロバンの多くの家屋と同じように、施設の屋根は吹き飛び、電気も水も遮断されたままだ。通常なら、同市内の児童養護施設2か所のどちらかに保護されることになるが、これらの施設も壊滅的な打撃を受け、スタッフや子供たちが退避を余儀なくされている状態だという。
市の社会福祉システムが復旧すれば、二カちゃんや他の孤児たちは当局に引き渡され、最終的には養子に出されることになる。
バステスさんは「彼らには家族が必要だ」と述べ、「施設にずっといるわけにはいかないから」と続けた。(c)AFP/Cecil MORELLA