【11月19日 AFP】ロシアの裁判所は18日、北極海の石油採掘に抗議して同国に勾留されている国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)の活動家ら30人のうち、ロシア人の医師とカメラマンの保釈を認めた。

 2か月間勾留されてきた30人のうち初めて保釈が決まったのは、グリーンピースの抗議船「アークティック・サンライズ(Arctic Sunrise)」に乗船していた医師のエカテリーナ・ザスパ(Yekaterina Zaspa)被告。グリーンピースによると、これは同国第2の都市サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)のカリニンスキー(Kalininsky)裁判所が出した決定で、同被告は200万ルーブル(約615万円)の保釈金を支払って釈放されるという。

 また同裁判所は、過去にAFPとロイター通信(Reuters)での勤務経験があるロシア人カメラマンのデニス・シンヤコフ(Denis Sinyakov)被告に対しても、同じ保釈条件を設定した。

 またグリーンピースによると、ある検察官が同日、ブラジル出身の活動家、アナ・パウラ・マシエル(Ana Paula Maciel)被告についても釈放に異議を唱える意思がないことを明らかにした。同被告に関する決定は19日に発表される見通し。

 一方、2被告の保釈決定に先立ち、サンクトペテルブルクにある別の裁判所は同日、オーストラリア人活動家コリン・ラッセル(Colin Russell)被告(59)の公判前勾留期間を2月24日まで3か月間延長することを決定した。これにより同被告は、2月23日に閉幕するソチ冬季五輪の開催中も勾留が続くことになる。この決定が言い渡された後、同被告はグリーンピースが公表したコメントの中で「私は犯罪者ではない」と訴えた。

 グリーンピースの抗議船に乗り込んでいた18か国の活動家28人と記者2人は、ロシア当局によってまず海賊行為の罪で起訴されたが、この罪状での起訴は後に撤回され、より軽微な「フーリガン行為」で再び起訴された。有罪となれば、最大で禁錮7年の刑が言い渡される可能性がある。

 起訴された30人をめぐっては、歌手のマドンナ(Madonna)さんやポール・マッカートニー(Paul McCartney)さん、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相といった著名人らも釈放を呼び掛けている。22日にはある国際海事裁判所が、同抗議船の船籍国であるオランダが求めている同活動家らの釈放をロシアに命じるかどうかの判断を下す予定。一方サンクトペテルブルクの2つの裁判所は、残る活動家らについて保釈請求の審問を今週いっぱい継続することになっている。(c)AFP/Marina KORENEVA