レイテで生かす震災経験、iPadで画像診断 日本の医療チーム
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【11月17日 AFP】台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)で壊滅的被害を受けたフィリピン中部レイテ(Leyte)島のタクロバン(Tacloban)で、日本の国際緊急援助隊医療チーム(Japan Medical Team for Disaster Relief、JMTDR)が活動している。今回はタブレット型コンピューターを使用した無線式移動X線検査装置を初めて使用しているという。
この技術は津波で甚大な被害が出た2011年の東日本大震災後に開発された。医師によるX線検査が直ちに可能になる上、米アップル(Apple)のタブレット端末「iPad(アイパッド)」で画像を拡大することもできる。
日本政府がタクロバンに開いたテント式の診療所でAFPの取材に応じたチームの調整役を務める富岡譲二(Joji Tomioka)医師は、東日本大震災の発生直後に医師らが必要としたことをふまえて開発されたシステムだと説明し、実際に被災地で使用するのは今回が初めてだと述べた。
一部に空調設備まで整った近代的な診療所で、診療放射線技師が車椅子に乗った72歳の男性の胸部にカメラを当てると、X線画像が無線ルーターを通じてすぐにiPadや付近のラップトップ型パソコンに送信された。医師がこの画像を指で拡大すると、異常がある箇所を詳しく見ることができた。画像を見た富岡医師は、「結核を患っているようですね」と語った。
■「今度は日本がフィリピンを支援する番」
日本の医療チームは、医師、看護師、薬剤師、心臓専門医、医療技術者で構成され、投薬や簡単な手術の用意がある。富岡氏は、推計1300万人の被災者に対する国際救援活動の一環として日本の医療チームは1日当たり約200人を診療していると述べた。フィリピンは東日本大震災の際に日本を支援してくれたので、今度は日本がフィリピンを支援する番だと富岡氏は語った。
日本政府は15日、フィリピンに対する緊急無償資金協力をそれまでに発表していた金額の3倍に当たる3000万ドル(約30億円)に増やし、救援活動のため1000人規模の自衛隊員を派遣すると発表した。
レイテ島は太平洋戦争中の1944年に旧日本軍と米軍の激戦地となった場所で、現地で自衛隊が活動するのは初めてとみられる。タクロバンは旧日本軍から解放されたフィリピン最初の都市だった。(c)AFP