【11月16日 AFP】フィリピン中部を襲った台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)の被災地では15日、救援活動が本格化し始め、警官隊の配備も進んで略奪も抑制されつつあり、厳しい状況の中で被災者が暴力に走るのではないかという懸念は薄れてきている。

 数日前には壊滅的な被害を受けた街から逃れようという群衆が押し寄せて航空機の座席を争ったレイテ(Leyte)州タクロバン(Tacloban)の空港は、少なくとも表面的には秩序が回復した。

 同空港の復旧支援のため12日に沖縄から飛来した米空軍第320特殊戦術飛行中隊(320th Special Tactics Squadron)のJon Shamess大尉は「事態はわれわれが到着した時からずいぶん変わった。この間までは飛行機が着陸するなり、皆がわれも乗ろうと走り寄って来て、極めて危険な状況だった」 と語った。まだ数千人が必死に脱出しようとしているが、大半は辛抱強く順番を待っている。

 フィリピン国家警察の報道官によると、15日には首都マニラ(Manila)から空路到着した増援も加わり、タクロバンに配置された警察官は約1200人に増えた。同報道官はAFPに対し、「ある程度の略奪はあったが、今はくい止められている。引き続き治安状況には警戒しているが、活動の中心を防犯から救援活動支援に切り替えつつある」と述べた。

 タクロバンでは11日夜から厳しい夜間外出禁止令が実施されている。 (c)AFP/Huw Griffith