【11月15日 AFP】コカイン使用を認めるなど数々のスキャンダルの渦中にあるカナダ・トロント(Toronto)のロブ・フォード(Rob Ford)市長は14日、粉末コカインの吸引現場や売春婦とみられる女性とパーティーを開いているのを見たと警察に証言した市の元職員らを提訴する構えを示した。

 フォード市長は既に喫煙タイプのコカイン「クラック」の使用を認めているが、トロント市警は13日、市長の問題行動をめぐる新たな報告書を発表。その中で、市庁舎でパーティーを開いた際に売春婦とみられる女性を伴っていた、その後バーで粉末タイプのコカインを吸った、アヘンの成分から作られる処方鎮痛剤オキシコンチン(OxyContin)を乱用していた、飲酒運転をした、市職員に酒をおごらせたなど、数か月かけて証言者から集めた新たな疑惑が浮上した。

 しかし翌日、市長室前で記者団の取材に応じたフォード市長は、一連の疑惑を「真っ赤な嘘」だと怒りもあらわに否定。「残念だが、法的措置を取らなければいけない」と述べ、元側近ら3人の市元職員を名指しして、間もなく訴訟を起こすと宣言した。名誉棄損で訴えるとみられる。

■演説に背を向ける市議ら

 警察が公開した文書で明らかになった新たな疑惑は、いずれも裁判所で審理されたものではなく、フォード市長は犯罪行為で立件されてはいない。

 ただ、14日の疑惑否定会見の際に市長が露骨に性的な表現を使ったことから、その日の市議会では多数の議員が市長の演説の際に背を向ける一幕が見られた。

 こうしたなか、トロントを州都とするオンタリオ(Ontario)州のキャスリーン・ウィン(Kathleen Wynne)州首相は初めて、市議会が全会一致すればフォード市長を解任できるようにする法令の制定など、スキャンダルを終結させる案を検討していることを示唆した。

 問題行動が明らかになったことで、フォード市長のラジオ番組は先週打ち切りとなったが、地元テレビ局サン・ニュース・ネットワーク(Sun News Network)は14日、来週から市長が司会を務める新番組の放送を開始すると発表している。(c)AFP