正念場迎えるポルトガルとフランス、W杯欧州プレーオフ
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【11月15日 AFP】2014年サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)欧州予選プレーオフ初戦の全4試合が15日に行われる。その中で、フランスとポルトガルは列強のスペインやドイツともにブラジル行きを決めるための戦いに臨む。
クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)擁するポルトガルは、ズラタン・イブラヒモビッチ(Zlatan Ibrahimovic)が君臨するスウェーデンとの今プレーオフで最も厳し戦いを控えている。
一方で元王者のフランスは、南アフリカ大会(2010 World Cup)予選プレーオフのアイルランド戦でティエリ・アンリ(Thierry Henry)のハンドボールの末に決勝点を挙げた論争を呼ぶような形以外での予選突破を目指し、初戦を敵地ウクライナ・キエフ(Kiev)で迎える。
他方、本大会行きを決めれば史上最小の出場国となるアイスランドは、過去4位の実績を持つクロアチア戦で夢のような物語をもたらす可能性がある。もう1試合では、得点力不足のギリシャがルーマニアと相対する。
■ブラジル行きに期待が高まるポルトガルと自信をのぞかせるイブラヒモビッチ
欧州選手権2012(UEFA Euro 2012)でチームを準4強に導いたポルトガルのパウロ・ベント(Paulo Bento)監督は、期待が高まっていることを心得ている。
「(W杯の開催国が)ブラジルということもあって、より大きい期待が寄せられていることは理解できる。とはいえ、どこで開催されるにしてもわれわれの目標に変わりはない」
「野心のレベルは変わらない。だが、事実は事実だ。チームの外側ではブラジル行きに対する期待値が非常に高い。大会はブラジルで行われ、彼らはポルトガル語を話すからね」
「長期的な目標を定めた際の主たるターゲットの一つがブラジル行きだった。そして、それはまだわれわれの手に委ねられている」
「スウェーデン戦では、信念、相手への尊敬、そして何より2014年ブラジル大会への気持ちを持って、状況に合わせて闘う」
中立の立場にいる多くの人は、ロナウドかイブラヒモビッチのどちらかをW杯で見られないことに落胆した。しかし、パリ・サンジェルマン(Paris Saint-Germain、PSG)でプレーするイブラヒモビッチは、12月6日にブラジルのマッタデサンジョアン(Mata de Sao Joao)で行われる本大会の抽選会に臨むに相応しいのはスウェーデンだと語った。
「予選でも厳しい試合を戦ってきたんだ。ポルトガル戦は僕らを興奮させるだけさ」
「ポルトガルはチームでも選手個人でも人気は上かもしれない。でも僕らはドイツがいるグループの2位に入ったんだ。ブラジル行きは僕らのほうが相応しい」
■2010年大会の苦い記憶を振り払いたいフランス
ウクライナは、1994年大会以来となるW杯本大会出場逃す危険にさらされているフランスを迎え撃つ。フランスは、選手が練習を拒否するなどピッチの内外で悲惨な状況となった2010年大会の記憶を消したがっている。
自国開催の1998年大会で優勝キャプテンだったフランスのディディエ・デシャン(Didier Deschamps)監督は、選手たちがウクライナに勝利するためのしっかりとした心構えを備えていると語った。
「プレーが行われるのはピッチだが、脚をコントロールするのは頭脳だ。心理状態は『挑戦』、『戦闘』で、そこに不安や疑念、疑問の余地はない」
一方、昨年12月の指揮官就任以来チームを6戦無敗に導いたウクライナのミハイル・フォメンコ(Mikhail Fomenko)監督は、手にした挑戦権に選手は非常に息巻いているとコメントした。
フォメンコ監督は「フランスは非常に経験値が高く危険な相手だが、われわれはこの2試合を恐れてはいない」と、AFPの取材に対しコメントした。
「選手全員がフランスとのプレーオフで果たすべきことを完璧に理解していると思う」
■予想外の勝ち上がりを見せたアイスランド
アイスランドの予想外のプレーオフ進出は、スウェーデンを2度のW杯本大会出場に導いた経験豊富なラルス・ラガーベック(Lars Lagerback)監督の落ち着きと知識の豊富さによるところが大きい。
母国スウェーデンを率いて欧州選手権で3度指揮を執ったラガーベック監督は、チームに失うものは何もないと言う。
「今となってはここまで近づいたのだから、ブラジルに行けなければさぞかし残念だろう。しかし、われわれはどちらにしても有利な状況にある」
「予選で戦っていくにつれて期待が膨らんだとはいえ、国外、そして公平に言えば国内でも、われわれがここまでやってくると思った人は多くはいない」
一方、1998年以来となる本大会出場を目指すルーマニアは、敵地ギリシャに乗り込む。ギリシャは予選10試合で12ゴールとなっており、拮抗した試合展開が予想されている。
(c)AFP/Greg FRASER