【11月14日 AFP】先日喫煙タイプのコカイン「クラック」を使用していたことを認めたカナダ最大の都市トロント(Toronto)のロブ・フォード(Rob Ford)市長に13日、鼻から吸引する粉末タイプのコカインの使用や、売春婦とみられる女性と市庁舎でパーティーを開いていた新たな疑惑が浮上した。

 地元警察が同日公表した約500ページに上る報告書では、フォード氏がバーで薬物を鼻から吸引していたり、アヘンの成分から作られる処方薬オキシコンチン(OxyContin)を使用したりしていたとの証言がまとめられている。

 報告書には、フォード氏が市長室で売春婦とみられる女性とパーティーを開き、酒をおごるよう市職員に圧力を掛けたとも書かれている。また市職員が警察に語ったところでは、市長室に女性たちが出入りすることが複数回あったとされ、この女性たちはバーの外で一緒にマリフアナを吸った市長に仕事の世話をされたと話したという。

 これらの疑惑はいずれも裁判所で審理されたものではなく、フォード氏は犯罪行為での立件はされていない。

■「クローゼットにハンガーがあるかも」

 13日はフォード氏がクラックの使用を認めてから初めて市議会が開かれ、出席した同氏は2年間に違法薬物を購入したことがあったと認めた一方、自分は薬物中毒者ではないとの以前からの主張を繰り返した。また、暴力団関係者とのつながりがあるとの疑惑も否定し、辞職もかたくなに拒んだ。

 だが市長は、「クローゼットの中の骸骨(外聞をはばかる秘密、という意味の英語の慣用句)」という表現をもじって、「分からない、分からないが、私のクローゼットにはコートのハンガーぐらいは残っているかもしれない」と述べ、他にも不行跡が露見する可能性があることを示唆した。

 市議会は、薬物を断つための治療を受けるための休職を同氏に勧告する動議を、賛成37反対5で可決した。ただ、市議会には選挙で選ばれた市長を解任する権限はなく、同動議は象徴的な意味合いしか持たない。

 市議会で審議が進む中、市庁舎前には数百人の人々が集まり、フォード市長の辞職を求めるデモを行った。(c)AFP/Adrian Lee