【11月9日 AFP】スイスのジュネーブ(Geneva)で7日から2日間の予定で行われていたイランの核開発問題をめぐるイランと国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国(米英中仏露)にドイツを加えた6か国(P5+1)の協議は、予定を延長して9日も続けられることになった。

 米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は8日、中東歴訪を切り上げてジュネーブ入りし、英仏独の外相に合流した。ケリー国務長官は報道陣に対し「現時点では何の合意もない。まだ解決できていない非常に重要な問題の協議が残っている」と語った。

 しかし、9日にはロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相もジュネーブ入りするとみられ、中国を除くP5+1の外相が全員集まることから、何らかの合意に達する可能性に期待が高まっている。

 8日には、ケリー米国務長官とイランのモハマド・ジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相、6か国側の調整役を務める欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障上級代表が、深夜まで長時間会談した。午後11時30分(日本時間9日午前7時30分)ごろ終わった会談の後、ケリー長官は「仕事は山ほどある」とだけ語った。

■画期的な合意なるか

 今回の協議で何らかの合意に達すれば、イランの核開発をめぐる10年に及ぶ協議における画期的な出来事となる。最終解決へ向けた今後の協議につながる第1段階の合意として期待されているのは、イラン側が核開発を6か月間凍結する見返りに、イラン経済に打撃を与えている国際社会の制裁を一部緩和するという内容だ。

 これまでにイラン側に対し、兵器級濃縮ウランまで技術的にはもう一歩の濃縮度20%の濃縮ウランの製造停止、保有するウランの削減、プルトニウム生産に使われる恐れがあるイラン中部アラク(Arak)の重水炉を稼働させないことなどが提案されている。

 この見返りとして6か国側は、他国の口座にあるイラン資産の凍結を一部解除するなど、イラン側が合意を遵守しなかった場合に元へ戻せる範囲の限定的な制裁緩和を提示してきた。

■イスラエルは断固反対

 一方、対イラン制裁の解除に強く反対してきたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、「イランは世紀の取引を手にし、国際社会は悪い取引を手にする。これは非常に悪い取引だ。イスラエルはこれを断固拒否する」と述べ、6か国に対し、イランと合意しないよう強く求めた。(c)AFP/Michael MAINVILLE, Jo Biddle