【11月9日 AFP】8日、観測史上最大規模の台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)が直撃したフィリピンでは一夜明け、東部レイテ(Leyte)州の州都タクロバン(Tacloban)で路上に100人以上の遺体が横たわっているとの情報が入っている。

 フィリピン民間航空局(Civil Aviation Authority of the PhilippinesCAAP)のジョン・アンドリュース(John Andrews)副局長は9日、タクロバンにある空港から首都マニラ(Manila)の本部に「死者は100人以上で、遺体が道路に横たわっている。負傷者も100人以上出ている」と無線連絡があったと発表した。またタクロバンの空港は完全に破壊された状態だという。

 レイテ州があるレイテ(Leyte)島は人口約200万人の大きな島だが、台風30号の勢力が最も強かった8日朝に直撃され、全ての通信施設が使えなくなっている。アンドリュース副長官によれば、犠牲者に関する情報は短波無線機で報告された。

 現地テレビ局GMAによると、タクロバンと近くの町パロ(Palo)などレイテ島東部沿岸では高潮も発生した。GMAの記者は31人の遺体を確認し、うち20人の遺体はパロの教会にあったと伝えた。

 同日フィリピンでは大規模に動員された軍が孤立した被災地域に急行している。多くの町や村は通信が途絶して孤立しており、当局は最終的な死者数は予測がつかないとしている。

 フィリピン赤十字(Philippine Red Cross)のグウェンドリン・パン(Gwendolyn Pang)氏はAFPの取材に対し「多くの建物が崩壊し、住宅は潰れ、高潮や地滑りが発生したと報告を受けている。しかし被害がどれだけ大きいかはまったく分からない。今日は被害状況が少しはつかめるかもしれない」と述べた。

 首都マニラ(Manila)の南東およそ600キロに位置するサマール(Samar)島に上陸した台風30号は最大瞬間風速が87.5メートルに達し、フィリピンの中部と南部を通って南シナ海(South China Sea)へ抜けてベトナムへ向かった。今年世界で起きた台風では最大で、また上陸した台風としては観測史上最大規模となる。(c)AFP