【11月9日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)と世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は8日、内戦下のシリアでポリオが発生した事態を受け、中東で2000万人以上の子どもたちにワクチンを接種する緊急計画を発表した。

 発表によると、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、ヨルダン川西岸(West Bank)とガザ地区(Gaza Strip)、シリア、トルコで6か月かけてワクチン接種が行われる。この地域で最大のポリオ撲滅運動になる。

 WHOは10月29日、シリアで14年ぶりに、10人の子どもから野生株ポリオウイルス1型(WPV1)が検出されたと発表していた。WHOによると、今回検出されたウイルスと、エジプト、イスラエル、ヨルダン川西岸とガザ地区の下水施設で検出されたウイルスが、ポリオが今も風土病として残っているパキスタン起源のものであることを示唆する予備的な証拠があるという。

 ユニセフのピーター・クローリー(Peter Crowley)氏は「シリアでのポリオ発生は子どもたちにとって悲劇であるだけでなく、どこに住んでいるのであれ十分な免疫のない全ての子どもにワクチンを行き渡らせなければならないという、極めて重要な早期警報なのだ」と語る。

 ユニセフによると、シリアでは160万人の子どもにポリオ、はしか、おたふくかぜ、風疹のワクチンを接種する計画が進められており、これまでに今回のポリオ発生が確認された東部のデリゾール(Deir Ezzor)県の11万6000人を含む65万人以上の子どもが既に接種を受けている。

 欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and ControlECDC)は、欧州各国に対し下水のポリオウイルス検査とシリアの難民の予防接種と検便を強化するよう求めている。(c)AFP/Nina LARSON